イサは、習得している全ての剣術を放った。
剣を振り下ろすと、炎の力を付加した赤いレーザーがヴォルグレイト目掛けて飛んでいく。
だが、ヴォルグレイトにはイサの攻撃が全く通用しておらず、剣一つで、ことごとくかわされてしまう。
「これでもダメか!」
高等剣術で剣を瞬間冷凍し、氷をまとった刃先をヴォルグレイトのみぞおちに突き刺そうとした。
「ははは、お前の剣術はその程度だったか?
動揺が術の勢いを衰えさせているではないか」
ヴォルグレイトは余裕の笑みを浮かべ、凍ったイサの剣を自身の剣で弾き返した。
真実を聞き出したい…!
必死なイサの額は汗ばみ、息切れしはじめていた。
一方、ヴォルグレイトは汗ひとつかかず、軽やかな手つきで剣を振り続け、イサの攻撃を徹底的にかわしている。
戦い始めて5分弱。
“父さんには、敵わないのか!?”
イサの瞳には、早くも疲労の色が浮かんでいた。
ヴォルグレイトは涼しい表情でイサを眺め、
「旅に出ている間に、腕が落ちたのではないか?」
「くっ……!」
謁見の間に、イサとヴォルグレイトの剣がぶつかる音が響く。
イサの放つ炎のレーザーはヴォルグレイトの剣ではね返り、強力な壁に複数の黒い焦げ跡を残した。
「なぁイサ。
ひとつでいい。私に傷をつけることができたら、お前の知りたいことを話してやる」
「本当ですね!?」
イサは、いま出せる全ての精神力を使って、実力以上の剣術を放とうとした。
青黒い光が彼の剣に宿り、この空間全体をまぶしく染める。