イサがまっすぐな瞳とひきしまった顔つきで注意事項を述べる。
「みんな。この先どんなことがあっても、無理はするなよ。
この先通る森や海岸には、強い魔物が現れることがあるから単独行動はするな。
警備の行き届いた街もあるけど、治安の悪い地域もあるから、出来るだけ団体で動くこと。
マイも、魔法を磨くのはかまわない。
でも、護衛する者として俺は、マイとテグレンのことを足手まといなどと思ったりはしないから。
俺ももちろん注意するけど、危険を感じたらすぐ教えてくれ。
エーテルも、俺と同じく母国からの命(めい)でここにいるけど、つらいときは我慢せず言ってくれ。
全力で援護する」
「ありがとう」
雲ひとつない青空の元、女性陳3人の涼やかな声がそろった。
“イサのように、まっすぐ自分の道を信じて全(まっと)うする。
いつか私にも、そんな日がきたらいいな”
マイは、イサの曇りない目を見てそんなことを思っていた。