イサとエーテルもしんみりした顔になる。
「ずっと昔の話だよ。
当時あの子は、付き合ってた男の人と結婚したがってたんだけど、私が猛反対したせいで、家を出て行っちゃったんだ。
若すぎるってのもあったし、他にも、反対する原因はいろいろあったんだけど……。
マイが謝ることないよ。
あの子の結婚を許さなかった私が悪いんだからさ」
そう言いテグレンは、エーテルから受け取った積み木のような木片を胸の前でそっと包んだ。
「テグレン……」
マイをはじめ、イサとエーテルも、かける言葉を見つけられずに黙っていることしかできない。
テグレンは何もなかったかのように歯を見せ、
「やだよぉ。なーに、みんなして暗くなってんのさぁ。
マイとはずっと関わっていたし隠すつもりはなかったんだけど、自ら話したい話でもなかったしねぇ。
まっ、娘はきっとどこかで無事にやってるさ。
今はマイがいる。
私は幸せ者だよ」
と、元気よくエーテルとイサの肩をバシバシと叩いた。
イサはその衝撃によろめきつつも、
「二人は、本当の血縁者のようだな」
「うん」
と、エーテルもうなずく。
「エーテルは私のおばあちゃんみたいなものだもーん」
イサの言葉を肯定し、マイは笑った。
「そろそろ、行きましょう」
エーテルが旅立ちを仕切る。
「二人とも、よろしくねっ」
マイは改めて、知り合いたての男女二人におじきをした。