心を引きちぎられるような痛みを覚えつつ、エーテルはルミフォンドの眠る家屋の扉を閉めた。
魔法使いを狙う人間がこの場所に近づけないよう、家屋全体に防御魔術をほどこす。
エーテルがルミフォンドに与えた、仮の名前。
それは、「マイ」…………。
ルミフォンドという名のまま匿(かくま)っては、意味がない。
いずれヴォルグレイトに気づかれてしまう。
普段冷静なタイプだと評価されるエーテルも、この日ばかりは泣かずにいられなかった。
拭っても拭っても、とまらない涙。
こうするしかなかった。
他にも方法があればじっくり探したかったのに、そんな時間はなかった。
自分がもう少し大人だったら、うまくやれたかもしれないのに。
“叶うのなら、ずっと友達でいたかった。
ルミフォンド、ひとりにしてごめんね……”
大切な友達との別れ。
つらい気持ちを抱え、エーテルはイサの待つガーデット城へ引き返したのだった。