マイは不思議そうに首をかしげる。
「これがどうかした?」
イサは何かをごまかすように、
「いや、何でもない……。
けど、すごいな。
エーテルの術をもっても明かせないほど、強い魔法で隠してたんだな」
イサは右手をアゴに当て真剣な表情をする。
「そんな大した魔法じゃないって。たまたまだよ。
エーテルの魔術は、本当にすごいよ」
マイはヘラッと笑うと、テグレンに言った。
「それより、テグレンの荷物は大丈夫なの?
旅の前にもう一度街に戻って、家の様子とか見ていかなくていい?」
「絶対持っていかなきゃならないほどの貴重品もないし、気にしないでおくれ」
その返事に似合わず、テグレンは何やら気掛かりなことがある顔つきだ。
そこへ白い光をまとったエーテルが現れる。
「あなたの家に行って、必要な物は全てまとめておいた」
エーテルはテグレンの手のひらに、昨夜マイに渡したような3cm四方の木片を置いた。
「これが私の荷物かい? いつの間に……」
テグレンは息をのむ。