――翌朝。
眠りから目覚めたマイとテグレンは、
「おっはよう!」
「護衛お疲れ」
と、玄関先にいるイサに明るく声をかけた。
「おはよう。よく眠れたか?」
「うん。私とテグレンは大丈夫。
それよりイサとエーテルは眠くないの?」
「俺達は大丈夫。
護衛のプロだから」
マイはイサに尊敬のまなざしを向ける。
イサはそれに気づかず、そうすることが当然のように、
「じゃあ、行こう。
ここからは少し長い旅になる。マイを狙う者もたくさん立ちはだかるだろう……。
旅に慣れていないマイとテグレンにはきつい時があるかもしれない。
でも、安心してくれ。
俺とエーテルは必ず、マイとテグレンを全力で守るから」
「ああ、頼んだよ」と言うテグレンに続きマイも、
「イサとエーテルがついてるなら安心だよ。
私も魔法の腕を上げて、足手まといにならないようにがんばるから」
と、杖を片手にした。
テグレンはそれを見て、
「おや? その杖もエーテルの魔術で木にしたんじゃなかったのかい?」
「これは私の命と言ってもいいくらいの大事なもの。
魔法を使うために欠かせないから、どんな存在にも見つからないように隠しておいたの」
テグレンは「なるほどね」と言うようにニコニコうなずくが、イサは驚いてマイの手に握られた杖を見た。
「その杖はっ……!」