ガーデット帝国を拠点にして動くため、エーテルはしばらくの間、ガーデット城に泊まり込むことになった。


一方マイは、ガーデット帝国最大級の要人として、ガーデット城で保護されることになっている。

旅立ちの日に、イサはマイにこう言った。

『魔法の力で、ガーデット帝国とルーンティア共和国を助けてほしい』

それについて、近々ヴォルグレイトからマイに話をする場が作られることになっているが、それまでは客人として城で自由に過ごすように、マイは言われていた。

彼女の同行者·テグレンも、マイと同じように大切な客人として扱われた。


イサとエーテルは、食事の前にマイに挨拶をしたりして、マイのことを気にかけてはいたが、彼らは夢中で何かを考えているようで、常に「心ここにあらず」の状態だった。

何があっても、3人仲良く旅をしてきたのを見ていたテグレンはマイに同情したが、イサとエーテルが忙しい理由も理解していた。

自国の次期王位継承者として、自由に遊び回っているわけにいかないことも……。

ゆえに、テグレンは何も出来ず、彼らのことをただ見守るしかなかった。


マイとテグレンは、ガーデット城の執事達に、城内に関して様々な注意事項を聞いた。

立入禁止の場所や、護衛をつけなくては外出を許可されない行き先、などなど。

そうして、今までとは違う生活を受け入れたマイとテグレンは、広いダイニングでの食事を終え、散歩気分で城の中を歩いてみることにしたのだった。