イサとエーテルはマイとテグレンを背後に連れ、城内へ足を踏み入れた。
外観の重厚さからは想像できないほど、城内は華美な内装をしている。
大きな窓や脇に伸びるテラスからは、中庭に生えた芝生の緑や常緑樹を見渡すことができる。
窓全体から日差しが差し込み、城の外にある壁を感じさせないくらい明るい雰囲気だった。
床に敷かれた紅色のカーペットや、その両脇にずらりと並べられた花の鉢植えをみて、マイは立ち尽くす。
テグレンも、壁画や窓ガラス、床のタイルをまじまじと見て、
「長年生きてきたけど、こんな立派で高価な品物を直接見るのは生まれて初めてだよ……」
マイも小刻みにうなずくと、
「『王子様の住むお城』って感じ……。
あの花も、今まで見たことないよっ。
部屋の扉も廊下も、金色と白に光ってて、広いし綺麗すぎる。
とにかくビックリだよっ!」
イサとエーテルは、マイとテグレンの様子に気づき、立ち止まる。
イサはマイの横に立つと、
「楽しそうだな」
と、柔らかい笑みを見せた。
マイは胸の高鳴りを感じつつもそれをごまかし、
「うんっ。なんか面白いよ。
広くて豪華で……。
イサって、すごいところに住んでるんだねっ」
と、満面の笑み。
「そっか。連れてきてよかった。
しばらくここにいてもらうことになるだろうから、いつでも、好きな場所を見て歩いたらいい」
イサは言うと、マイの背を押し歩を進めた。
二人の様子を見守っていたエーテルとテグレンも、それについていく。