ローアックスを助けたフェルトは、レイルと共にルーンティア共和国の城下街にある宿にきていた。

フェルトは横抱きにしていたローアックスをそっとベッドに寝かせると、イサとの戦闘で傷ついた彼の体を、治癒の魔術で治していく。

フェルトの手から放たれるエメラルドグリーンの丸い光が、みるみるとローアックスの傷口をふさいだ。

「ローアックスさん。

あなた、雇い主に何をされたんですか?」

ローアックスは顔をしかめ、

「助けてくれたことには感謝している。

だが……! 我のことを話す気は、ない」

ベッド脇で2人の様子を見ていたレイルは、仰向けに寝そべるローアックスを厳しいまなざしで見下ろし、

「ガンコなヤツだな、助けてやったのに!

何もかも吐け!」

と、犯人を問いつめる刑事のような口調で言った。

「まあまあ、落ち着いて」

フェルトはレイルをなだめ、ローアックスに向いた。

「最初あなたに会った時から感じていました。

あなたには、不自然な魔術がほどこされている……。

正直に話して下さるのならば、私は、あなたを縛る魔術からあなたを助けられるかもしれません」

「……わかった。話す……」

「ありがとうございます」