テグレンは、少し離れた場所から特訓の様子を見ていた。


訓練すること、2時間――。

最初試験的に放った水魔法以外にも、火魔法、雷魔法、地面魔法など、マイはあらゆる自然物を自在に操るように、魔法を生み出していった。

わずかな時間で、眠っていたマイの能力は完全に覚醒し、放つ魔法の威力やスピードは、最初放った水流とは比べものにならないほどだ。


日頃マイは、こんなに魔力を使うことがなかったし、初めて攻撃魔法を使用したことも重なり、ひどく体力を消耗していた。

足元がフラフラし、力が入らない。

イサはマイの肩を支え、

「マイ、もう休もう。

たった数時間でこんなに魔法を使いこなせるようになるなんて、頑張ったな。

今日は早めに寝場所を探そう」

嬉しそうにうなずき、マイはその場に座り込んでしまった。

エーテルも優しい表情でマイの姿を見つめていたが、何者かの気配を感じ、マイをかばうように周囲を警戒する。

見覚えのある、緑色の衣装をまとった中年の男が、エーテル目掛けて勢いよくヤリを向けてきた……!

もちろんエーテルは対抗したが、それはうまくいかなかった。

どういうわけか、魔術を発動させることができない。

こんなことは初めてで、普段冷静なエーテルも焦りに顔を歪めた。

イサは瞬間移動なみの速さでエーテルとマイの前に立ちふさがり、男のヤリ攻撃を剣ではじく。