今は人間ばかりの世界だが、大昔……。
先天的に魔法を使える《魔法使い》という種族が存在していた。
その者達は性別を問わず《魔女》と呼ばれることもあった。
魔女たちは人間の姿をしながらも、生まれながらに人間には備わっていない驚異的な力を持っていた。
それは、魔法使いの血によるもの。
何もないところに物質を生み出す能力。
形のない光の壁で身を守る能力。
そして、異能の力で敵を攻撃する能力。
彼らはそうした力で無力な人間達を助けていた。
そうした魔法の力は、人間たちに恐怖や羨望(せんぼう)を抱かせ、それらのマイナス感情は魔法使い達を追い詰めていった。
無力だった人間は流れゆく時の中で知恵をつけ、能力を開発した。
剣を自在に操ることができる剣術。
自然の魂や精霊に力をかりて身を守ったりオーラを操り攻撃をできる魔術。
それらの術は限られた人間の間で行使され、いずれたくさんの流派に分かれたのちに、人間世界の中で様々な形で分布していった。
そうして築かれたこの世からは、いつの間にか魔法使いの姿が消えていた……。
それについて、人間達はある仮説を流した。
魔法使いが絶滅したのは、血筋が途絶えたせいだ、と。
魔法使いの存在は、現代ではもやは大昔のものだとされていた。