”ねえ、

 あたなはここにいる”



またわたしに語りかける声






大きなおおきなくじらが


わたしを乗せた


薄れゆく意識の中



ただ、からだを預けた



”ねえ、
 あなたはここにいる”



くりかえしくりかえし聞こえるその言葉


望んでいたことばかも忘れてしまった




いちどさよならした太陽からまた温かい光をもらって


溶けていく


なにもかも


このくじらは


すべてを知っている


すべてを知らない


どっちにもならないその瞳で


やさしくわたしを気づかう