「すいません。」と謝った

確かに起こしそうになったのは本当で、自分も悪いと思っていた

そんな早奈の様子を見て許してくれたのだろう。

次の言葉はすごく優しかった

「実際起きなかったし、僕も悪かった。 そんなにしゅんと、させてしまってすいません。」

ドキッ…

「いえ…」

(この人こんな顔するんだ…)

その表情はすごく綺麗で、この人が初めて、少しだけど私に笑いかけた瞬間だった。

菫がいつも、この人の笑顔を見てると思うとうらやましかった。
でも、この表情は菫がいたからこそ、見れたもので

この人にとって、菫がどれほど大きくて、大切な存在なのかすぐにわかった

その後、想さんは視線を私から腕の中の菫に目をやった

その時の表情は、私に笑いかけた少しの笑顔ではなく、優しさと愛しさを宿らせた微笑みだった