「……カノン、あたし」
あたしが口を開いた時に
カノンの細長くて綺麗な
人指し指があたしの唇に
触れた
『わかってる
乃愛が東城くんを好きだって
いう事はわかってた
乃愛の気持ちを知ってて
それでも僕は乃愛の側に
いたかったんだよ
――乃愛は僕の大事な初恋
の女の子だったから』
初めてみた悲しそうなカノンの瞳に
カノンの真剣さが伝わってきた
「カノン……ごめんね」
『謝らないでよ、ヘコムからさ
それより早く追いかけなよ』
「えっ??」
『……アイツ、
ムカつくけど、今の乃愛を
笑顔にできるのは東城くん
だけなんだから』
「……カノン、ありがと!!」
あたしは力強く頷いて
悠弥が行ってしまった
方向に走り出した