――あたしになんか
優しくしないでよ




あたしがカノンの服をギュッ
と掴んだ時、




後ろから温かい物に包まれた





この匂い、この感触


忘れられるわけがない




だって、あたしが大好きな
人なんだって教えてくれる
ものだから




『乃愛から離れろ』




――悠弥、





『君こそ乃愛から離れなよ』


『てめえに言われる筋合い
なんかねぇよ』


『乃愛を泣かせるような奴に
言われる筋合いもないね』


『んだと……っ!?』




悠弥がカノンに掴みかかろうとした時に


あたしは咄嗟に二人の間に
割って入った