9月に入ったといえども、空気はホントに暑い。
汗ばむ肌も、その感触さえ不愉快になる。
新学期に入って、新しく入った生徒に私の名前を報告し、慣れない学校。
私自身好きとは言えなかった学校に、私はいる。
変な感じ。
もうすぐで一週間は経とうとしているけど、全然馴染めないその空気に身体が疲れる。
3年2組。ほとんどが4年の定時制だけどここは3年間の定時制。
その最後の学年が私の担任を受け持ったクラス。
年齢層は幅広く、私よりずっとずっと年上だっている。
みんな、悩みは色々でももう一度卒業しようとしている生徒達を、私はこの学校に来て誇りに思えた。
3回目の授業。
ガラッとドアを開けた先に見える光景。
それは素晴らしいという言葉はかけ離れている。
50代に40代。30代も居ればあたりまえに20代、現役の高校生だっている。
やっぱ、不思議。
「今日は5ページの所から始めます」
そう言った私に対して教科書を開いていく生徒達。
でも、アイツだけは腑に落ちなかった。
窓際に座る彼。
金髪に近い明るい茶髪。
その髪の隙間から光って見えるのは紛れもなくピアス。
私の授業なんて聞こうともしない。
聞こうともしなければ、頬杖をずっと突いて窓の外を眺めている態度はずっと変わんない。
やる気…あんのかアイツ。
むしろここに何をしに来てるの?
その隣に居る派手な女も女。
鏡見てる暇あったら教科書開けっつーの。
だけど思うだけで私は何も言わなかった。
言うのが面倒。ただ、私は教えてればそれでいい。
言ったからって、そう簡単にはしないから。
だから言っても無駄。
私は、私の役目をこなすだけでいい。



