「そう。…だから?」
冷たい言葉を吐き捨てたあたしはそのまま立ち上がってキッチンへと向かう。
「会わないの?」
「会って、どうするの?」
「どうって…」
少し困った口調に聞こえた葵の声に思わず小さく息を吐き捨ててしまった。
「別れてるのにもう会う必要ないと思うけど」
それがあたしの正しい答え。
冷蔵庫から取り出したレモンティーを2つのグラスに注ぎ、それをソファーにへと持って行く。
「美咲。芹沢さんが退院する日、気にしてたんじゃないの?」
「してたけど」
葵のグラスだけをテーブルに置き、もう一つの持っていたグラスは口へと近づけた。
「じゃ、会えばいいじゃん」
「だからもう別れてる。退院したって聞いただけでもう十分」
「え?何が十分な訳?」
「それが聞けて十分って事」
「美咲、もう行く日せまってんでしょ?それでいいの?」
「決めたから」
持っていたグラスをコン…とガラステーブルに置き、あたしは一息吐く。
だけど目の前の葵はなんだか険しい表情であたしを見てた。