“今日だよね?何時の便?”
その内容を天野さんに送信する。
そして暫く経ってから返ってきた“夜8時の便です”と言う内容にあたしは部屋にあった掛け時計に視線を送った。
「9時間後…」
多分これで出会う事は最後だと思った。
お互い別れてしまう事に最後だと思った。
だから天野さんが言っていた出発寸前の時刻の前にあたしは空港に足を運んだ。
まだ出発まで2時間はある。
スーツケースを持ってごった返すこの人混みの中からどうやって探そうか、迷った挙句取り出したのは携帯だった。
プルルー…と耳に伝わる電子音。
その音がプツッと切れたと同時に、
「…センセっ?」
天野さんの声が伝わった。
「天野さん?」
「はい。どーしたの、センセ?」
「いや、もうすぐだねーって思って。もうゲートに行ったの?」
「まだですよ。今、出国の前のロビーです」
「そっか」
「え、何?どうしたんですか?」
「ううん。何でもないよ。頑張ってね!じゃ、」
「え、あ、…はい」
戸惑った天野さんの声を聞いてから電話を切ったあたしは、NY行きの便のロビーの前まで足を進めた。