一番の行事が無事に済んだそれからの日々は、もう一度旅立とうと決めたパンフレットに目を通す機会が増えた。

資料も全て全部に記入したあたしは、あっちで住む菜緒に大事な物を全て送った。


それから数日後。


「美咲ちゃん、届いたから手続きしとくね」


菜緒からの電話に、「お願いね」とそう返した。


「…にしてもさぁ、ホントにいいの?」


ちょっと沈んだその菜緒の声に思わずため息を漏らす。


「あのねぇ、菜緒から誘ったんでしょ?」

「そう、だけど…。いや、なんかね、」

「決めたから送ってんだけど」

「うん、そうだよね」


電話口から聞こえる菜緒の声とともに笑みまでもが聞こえる。


「どう?そっちは暑い?」

「うーん…暑いと言えば暑いけどイイ感じだよ」

「そっか。こっちは3月だけどまだ寒いんだよ」


もうとっくに3月に入ったと言えども外の風は冷たく、時たま肌を震わせる。


「でも、すぐに暖かくなるじゃん。こっちは冬に入っちゃうよ?」

「だけど冬でも暖かいでしょ!」

「まぁーね。じゃあ、あと1ヶ月後に会おうね」

「うん、またね」


菜緒と電話を切った後、何気に置かれているパンフレットを手に取った。