永遠の愛


数日後、休みだった私は何の目的もなく繁華街の駅にある旅行会社へと足を運んだ。

得にこれといった事はなく訪れた旅行会社。


国内、海外のパンフレットがズラリと並ぶ中、私はオーストラリアの前で足を止める。

目の前のパンフレットを手に取り、何気なくパラパラと捲った。


懐かしい風景が目に飛び込む中、ふと思い出した菜緒の言葉。


“日本語講師どう?”


考えてもなかったその言葉に、何でか分んないけど行こうと思った。

本当ならこう言うのって、時間を掛けて決めるつもりなのに、何故か時間掛けることなく決めてしまった。

もう既に考えてたんじゃないかってくらいの自分の決断。


多分、そう思うのも先が見えない将来が怖くなったから。


翔の手を自ら離したのは私で、翔に“迷惑”と言われるのも当たり前の事で、これ以上、翔の近くに居ることが私にとったら苦痛なのかも知れない。


訳の分からない女関係に悩むのであれば、ここから…

ここから離れたいと思ってしまった。


ホントに逃げてるんだろうけど、考えるほど私は器用じゃない。

しがみ付く程、私は器用じゃない。


大人になったと思ったけど結局、心はあの当時のまま。

何も変わってない。