「辛いことがあったらその分、何かいい物を運んで来てくれるからって、そう言ったのをすげぇ今でも覚えてる」
「……」
「当時の俺はさ、なんだそれ…ってな感じだったけど大きくなるにつれてその意味が分かるようになって、」
「……」
「なーんかよく分んねぇけどさ、俺にもぜってぇギフトがくんの」
「……」
「で、そいつさ今でもたまに電話してくんだけど、初めの言葉がいつも“なんかいい物送られてきた?”って言うの。なんか、笑えんだろ?」
「……」
そう言った一条くんは思い出したかの様に少しだけ笑った。
「で、最近の俺考えたら、あー…そう言えば留学かなって思って、それ言ったらさ、“じゃあ、また辛い事あったらギフトが来るよ”って言うわけ」
「……」
「馬鹿じゃねぇの。って感じじゃね?辛くなんてなりたくねぇのにさ。けど絶対ギフトはくるからって、そう言ってた」
「……」
「そいつもそいつなりに凄ぇ辛い思いしてたからな。けど、今はメイクとかネイリストになってさ、海外行ったりしてんの。で、里桜香も連れて行くから」
「…え?」
突然言ってきた一条くんの言葉がイマイチ不明で、思わず声を漏らした後、見上げる。