だけど入院してるって聞いたから、翔だろうと思ってしまったあたしは少し確かめたくて、気づけばエレベーターで5階まで来てた。


チン…となんだか不愉快な音とともに開かれた扉。

出た瞬間に広がる休憩されるであろうソファーがズラッと並ぶ。


左右、西と東に分かれる病室。

何番から何番と書かれている文字を見つめて東に足を進めようとした時、


「翔くん、全然変わってなかったね。むしろ若い時よりカッコいいんじゃないの?」


その明るめの声に何故か反応してしまった。


“翔”

確かに、そう聞こえた。


そして話し声とともに角から現われたのは2人の女。

見た事もないその顔にあたしは思わず視線を送ってしまった。


「翔…女いんのかな?」

「さぁ…あれだけカッコいいと何とも言えないけどね」

「そうだよね」

「でも、あんたもいい歳なんだし早く結婚しなよ。翔くん女いなかったら、もう一度戻ればいいじゃん」


…もう一度、戻る?

それって、元カノ?


余りの言葉にあたしはエレベター待ちをしている2人にまた視線を送ってしまった。