だからだろう。

気になって気になってしてしまった。


「あの…」


小さく呟いたあたしは落としていた視線を徐々に上げる。

目の前の彩斗さんは先にあたしを見てて、首を傾げた。


「うん?何?」

「あの…」

「うん」

「翔をNO1にしてた女の人って…」

「あー…リアの事?」

「…リア?」

「もしかして美咲ちゃんにまで影響してた?」


影響ってもんじゃない。

そんなもんじゃない。


影響どころか遥かに上。


「影響と言うか…」

「リアは翔さんが入った時からの図太い客。あいつは社長令嬢って奴なの」

「へー…」


また、あたしとは違う世界だ。


「大丈夫?」

「え?」

「ほら、この前すげぇ珍しく揉めてたから。って言うか言い合ってたから」


“美咲ちゃんの事で”


そう付け加えられた言葉にドクンと心臓が波打った。


あたしで揉めていたって、何?