「あー…俺?俺はスカウト」
「ス、スカウトですか?な、なんの?」
「なんのってホストの従業員探し」
そう言った彩斗さんは探してんのか目を遠くの方に向けたりと、辺りを見渡してた。
「…従業員探し?」
「そうそう。翔さんが抜けてからNO1の変動が激しくってね。毎月NO1が変わるって感じだから」
「そう…ですか」
「特定の奴が全然いなくてイケメン探し」
彩斗さんはクッと口角を上げてあたしに視線を向ける。
「へー…」
「翔さんまた上から誘われてるけど俺は絶対戻って来ないって思ってるからさ。しかも断ってるみたいだし。だからなんつーかいい奴いねぇかなって…」
「あー…そうですか」
「それに今、翔さん体調悪いっしょ?大丈夫な訳?」
彩斗さんは少し顔を顰めてあたしをジッと見つめる。
そんなに見つめられてもあたしは知らない。
だって、別れてるんだもん。
だけど“体調が悪い”と言う響にシックリこない感情が埋め尽くす。
それ、一条くんも言ってたもん。
「あー…」
だから思わずよく分んない呟きが口から洩れていた。