諒ちゃんの傍まで来たら丁度、電話を終えたのか携帯をポケットに突っ込む。


「大丈夫か?」


タバコを咥えたままそう言った諒ちゃんに首を傾げる。


「さぁ…大丈夫なんじゃない?」

「違げぇよ、お前だお前」

「あ、あたし?」

「あぁ」

「大丈夫と言いたいところだけど、何かもうよく分かんない。それにさ、一条くん諒ちゃんの事知ってたよ」

「は?…俺?」


案の定、何で?ってな顔をする諒ちゃんは首を少し捻る。


「そう、知ってたよ。もしかして何処かでヤリ合ってたんじゃないの?」

「それはねぇよ、アイツ若いだろ?」

「二十歳」

「なら何もしてねぇよ。いくらなんでも俺が学生ん時、小学か中学じゃねぇかよ。そこまではしねぇよ」

「そだね。そこまでいっちゃただの馬鹿だね」

「馬鹿っつーなよな。それに俺、もう手ださねーもん。大人になったっつー事かな。つか、凄くね?…俺」

「自分で言うなよ。ってか、大人になったって言うよりもその年で暴れちゃ動悸、息切れが激しいでしょ」

「そこまで年じゃねーよ。つか、何でアイツ俺の事しってんだろ」

「さぁ…ね。有名だったって言ってたよ」

「それっていい方で?悪い方で?」

「そんなの悪い方に決まってんじゃん。つか、諒ちゃん仕事中じゃないの?」

「そうそう」


何も思ってないかの様に諒ちゃんはタバコの灰を消し、伸びをする。