「警察なんか行っても何もなんねぇだろ」

「けど、アイツらが居る限り天野さんの心は晴れないよ?」

「だから俺がケリつけてんのに美咲ちゃんが出てくっから…。まだ俺は許してねぇから」

「でもそんな事しても無駄でしょ?」

「じゃ、警察行ったら全てが解決すんの?」

「そ、それは…」

「分んなかったら、あの人に聞けば?」

「…あの人?」


一条くんの目線を辿る先に見えるのは、少し離れた所にいる諒ちゃんの姿。

タバコを咥えて誰かと電話をしている諒ちゃんの姿を目で捕らえる。


その視線から一条くんに目を向けるとやっぱり一条くんも諒ちゃんを見てた。


「そう、あの人。あの人だったら良く知ってんじゃねぇーの?」

「一条くん…諒ちゃんの事知ってるの?」

「有名だっただろ、あの人。向こうは知らねぇと思うけど、俺は顔見ただけで分った」

「そ、そう…なんだ」

「って事で、帰るわ」

「ちょ、ちょっと!」


スタスタと足を進めて行く一条くん。

一条くんと諒ちゃんを交互に見つめるあたしは、最終的には諒ちゃんの方へと足を進ませてた。