「…何?」
素っ気なく返した一条くんは小さく舌打ちをしてため息を吐き捨てる。
「何してんのよ!学校にも来ないで喧嘩な訳?」
「つか関係ねぇだろ」
そう吐き捨てた一条くんは両手をポケットに突っ込んであたしに背を向けて歩き出す。
「ちょっ、ちょっと待ちなよ!」
一条くんの背後に向かってそう叫ぶと、一条くんは進めていた足をピタっと止めた。
「だから何?」
「関係なくないでしょ?今、あたしの家に天野さん居るの!天野さんが係わってるんでしょ?なのに関係なくないでしょ?」
少し声を張り上げてしまったあたしに一条くんは新たにため息を吐き捨てた。
「…俺、全部知ってんだよ里桜香の事」
「…ッ、」
思わず声を失ってしまった。
確かに一条くんは“小耳”に挟んだって言ってた。
それって、まさか天野さんが、あの男達に?
一条くんは全部って言った。
じゃ、天野さんがそー言う事されたって事も?
「美咲ちゃんも里桜香から聞いたんだろ?じゃ、アイツらがそうだって事」
「じゃ、警察に」
そう言ったあたしに一条くんはフッと馬鹿っぽく笑った。