「お前に――…」
「け、警察よぶから!」
諒ちゃんが何を言いかけたのは分らないが、あたしは慌てて言葉を遮った。
しかもよくある言い言葉。
そんな言葉を発したあたしに諒ちゃんは呆れた表情であたしを見た。
その横で一条くんは面倒くさそうにため息を吐き捨て髪を乱暴に掻き乱す。
「は?アンタ誰?」
主犯格の男か何だか知んないけど口元から血を出してる男は眉間に皺を寄せてあたしを見下げる。
「あたし?あたし里桜香さんの担任」
そう言った瞬間、男の表情が少し緩んだ。
もちろん天野さんが係わってる事はなんとなく分ってる。
だから隣にいた一条くんまでもが少し目を見開いたから。
「これ以上係わったら警察呼ぶから」
「面倒くせっ、」
そう吐き捨てた男は後ろにいた男どもと立ち去って行く。
そして今まで溢れかえっていた人混みが少しづつ消えてなくなっていく。
そんな光景を目にしたあたしは、
「ちょっと、一条くんっ!?」
思わずあたしは一条くんを見上げた。