張り上げたあたしの声の所為でもあってか、葵は唇を噛みしめたまま視線を逸らす。
場違いじゃないのかってくらいに言い合ってる墓場。
静けさが増し、冷たい風が頬を掠める。
数分、沈黙が続いた時、不意に聞こえた携帯の音に意識がそっちに向かった。
音を出してないあたしじゃなければ、今目の前いに居る葵の携帯。
葵は一息吐き、表情を崩したまま鞄の中に手を入れた。
そこから取り出した携帯を耳に押しあてる。
「…はい。―――…え、うん…」
そんな葵の姿からあたしは視線を逸らし、ため息を吐き捨てた。
「…今、一緒に居るけど、」
そう言った葵の言葉で逸らしたばかりの視線が葵に向く。
何回か電話の相手と会話した後、葵はそっとあたしに携帯を差し出した。
「…何?」
葵を見つめてから携帯を見る。
「諒也から」
そう言った葵に思わず首を傾げてしまった。
…何で、諒ちゃん?