「確かにあたしは関係ないよ。でもっ、芹沢さんの気持ち考えた事あるの?」
「…翔の気持ち?」
「そうだよ!待ってる身にもなんなよ。美咲が言わないと何も進まないじゃん!!」
「……」
「分ってんの、美咲。…芹沢さん今でも人気があんの。美咲が何も言わなかったら本当に話が進んでっちゃうの!」
「……」
「パパの会社でちらほら聞くけど、繁華街で最近よく見掛けるって言ってたの聞いたの!だから――…」
「もういいから!」
勢いよく突っかかって来る葵の言葉を、あたしの素っ気ない言葉で葵は口を紡ぐ。
「何?もういいって…」
「葵には関係ないじゃん」
「関係ないのは分ってるよ。だけどね、」
「だから!あたしだって学校の事とかもあるし、いっぱいいっぱいなんだよ!!」
これが正直な気持ちだった。
あたしの身体は一つ。あたしの頭も一つ。なのに考える事がいっぱい降りかかって来ても、そんなの解決出来っこない。
一つの事に集中出来ないの。
こっちに帰って来てからホントに色んな出来事が降りかかって、どうしようもないの。
そんなに解決できるほど、器用じゃない。