「何でって…」

「あたし言ったでしょ?芹沢さん、ホスト業界から誘われてるって!」

「うん」

「話ししないとトントン拍子に進んで行くって言ったじゃん!!」

「うん、言ってたね」


何でか知らないけど葵は珍しくあたしに突っかかって来た。

表情はもちろん、イマイチで怒ってる。


「言ってたね。…じゃないじゃん!!何で話そうとしないの?」

「何でって、あたし言ったはずだけど。翔には相応しい人が居るって。翔がホストに戻ろうがあたしには関係ないよ」

「だから何でそうなるの?このまま芹沢さんとずっと距離置くつもり?芹沢さんはそんな事望んでないと思うけど!」

「……」

「美咲が帰って来るのずっと待ってた。なのに帰って来て即効それはないでしょ?美咲の気持ちをただぶつけて、美咲が勝手に決めてる事に、あたしは納得いかない」


“ねぇ、美咲?”


付け加えられた言葉と同時に腕を掴まれ、そのあたしの腕を激しく葵は揺する。


…あたしの気持ちをぶつけて?

…あたしが勝手に決めてる事?



…って、そうじゃないでしょ。

確かにあたしは翔に言ったよ。


だけど、葵には関係ないじゃん。


「葵に関係ない」


気づけばあたしは素っ気なく葵に返してた。