まだ本調子じゃない天野さんを家に置いて、あたしは久々にママのお墓へと向かった。

ここ最近じゃ全く行ってなかったお墓。



…ママ、怒ってるんじゃないだろうか。


そんな事を思いながら墓石に辿りついた時、ふとあたしの目にそれが目に入った。


ママのお墓に供えてある花。

まだ真新しい花は枯れる事なく咲き誇っている。


誰かが来ました。と、でも言ってるような綺麗な花。


その花と重なる様に持っていたあたしの花も供える。

そして線香置きに線香を置き、ゆっくりと手を合わせた。


「…ママ、来てなくてゴメンね」

「……」

「ママに会いたいよ…」

「……」

「なんか、もう疲れちゃった。…ママが居ないと生きる意味ないよ」


思わず呟いてしまった言葉。

きっとこれが今の正直な気持ちなんだなって、そう思う。


幸せになる事を忘れてしまう程、疲れてしまうの。

ママが言った幸せになる法則。


“今を幸せだと思う事”


多分、今のあたしじゃ思えない。


自分の事もだけど、周りにもっと振りまわされて、何であたしがここまでしなくちゃって、そう思う。

だけど昔のあたしは皆に助けてもらってばかりだったから、どうしても見過ごせないんだ。


皆が大切なの。

結局は皆が大切なの。


でも、そう頭では分かってんのに、心は疲れてんだ。



…寂しいよ。