「…天野さん、繁華街で何してたの?心配したんだよ?」
「……」
正直、天野さんの考えてる事が分かんなかった。
だって、昨日の今日でしょ?
なのに、また繁華街に行くなんて、どうにかしてる。
「あたしが言える立場でもないけど、話しなら聞くよ?」
「……」
「なんか、ある?」
「……」
そう言ったものの、天野さんから返ってくる返事もなく、ただひたすらあたしは気づけばため息を降り注いでいた。
「一条くんがさ、心配してて携帯も繋がらないって言ってたよ?」
「……」
「家にも行ったんだって。けど居ないって、」
「……」
「でも、ここに居るって伝えたから」
正直、話の内容がグチャグチャで何を言ってんのか分んなかった。
そして居心地が悪いくらい沈黙が続いた時、
「…してた」
何を言ったのかも分らないくらいの小さな天野さんの声にあたしは反応して、視線を天野さんに向けた。
振り向く先に見えるのは未だに膝をギュっと抱え込んで寝ている天野さんの姿。
「え、ごめん。…何て言ったの?」
包まる天野さんにそう言うと、少しだけ身体を動かした。