「美咲が決めていいから」
「え?」
思わず翔の言葉に漏れた声。
視線を翔に向けると、ドアに掛けていた手を離し視線を前に向けてた。
「一緒に居るか居ねぇかって事。正直、こうやってダラダラすんのも好きじゃねぇから」
「……」
「でも、美咲に対する気持ちは変わってねぇって事。それだけは言える」
「……」
「あの女とも話ししたから。悪いのは俺だって、そう思ってる。美咲を不安にさせた事は俺だから…」
「……」
「だから後は美咲次第。…もう風邪引くから入れよ」
素っとあたしに送られた視線。
「じゃあ、」と言ってバタンと閉まったドア。
そしてゆっくりと発進していく車。
正直、頭の中がいっぱいいっぱいで何をどうしたらいいのかなんて分んなかった。
色んな事にムシャクシャする自分が憎くて情けない。
5年前はホストを辞めてほしいって思ってたのは正直な気持ちで、けど帰って来て辞めたんだって思うと、あたしの所為だってそう実感させられる。
翔は違うと言ったけど、他人目線で言えば正直あたしの存在なのかも知れないって考えてしまうと、何故が苦しい。
そして戻るかも…と言う噂が出ている今。
どうすればいいのか何て分んなかった。
翔のはっきりとした気持ちなんて聞いてないけど、一緒に居ることに翔のやりたい事を妨げになっているのであれば、あたしは一歩置くべきだと、
…そう思った。