「昨日行ったらさ、美咲のママが言ったの。あたし全然知らなかったから凄く驚いて」
「……」
「美咲のママすっごく喜んでたよ。なんか長生きできそうって言ってた」
「……」
「…って、美咲?」
「……」
運ばれてきたアイスティーのグラスをボンヤリと見てストローでクルクル回した。
グラスの中で氷がぶつかってカラカラと音を立てる。
…長生き…か。
もうママには言えそうにない。
ここ最近、精神的にきつかったから病院にも行ってない。
嬉しそうにしているママの顔を思い出すと、もう何も言えない。
「美咲?どうかした?」
「あ、あぁ…」
不思議そうに見つめてくる葵にあたしは小さく息を吐きだした。
「どうしたの?」
「あ、あのさ…」
「うん」
「その事なんだけど…」
「うん」
「何て言うか…。もう居ないの」
「え?」
「あたし流産して…もう赤ちゃんいないの」
「…え?」
あからさまに分かった。
葵の顔色が徐々に悪くなっていくのが見てるとすぐに分かった。
「だから何て言うか――…」
「何でっ!?何でそんな事になっちゃったの?」
今にも泣きそうな葵のその姿は昔っから変わってない。
何でって言われても、分かんない。
泣きそうな顔をしてるけど、泣きたいのはあたしだよ。