そっと手に取って中からだしてみた。
「…何、これ」
取り出した瞬間、小さく声が漏れる。
真っ赤に染まった錠剤。
見るだけで気持ち悪いその色に思わず顔を顰めてしまった。
手でそっと取って見つめる部分は“子宮収縮剤”と書かれてあって、妊婦禁止!!と赤い文字で書かれてある。
要するにあたしはもう妊婦じゃない。
「なんか食いな」
暫く経って帰って来た翔はコンビニの袋をテーブルに置く。
食べる気もならないあたしはゆっくり首を振った。
「マジで食えって!じゃねーと、美咲の身体がもたねーよ」
仕方なくと言った感じで手を引かれ、椅子に座らされる。
テーブルに並べられるのはオムライスにパスタにハンバーグに唐揚げに…ほかスィ-ツ。
「買い過ぎ」
そう言ったあたしは、ふと…思い出した記憶に薄ら笑ってしまった。
「何笑ってんだよ」
「なんか…昔を思い出してさ」
「昔?」
「ほら、初めて翔と出会った時にさ、無理矢理居酒屋に連れて行かされてそこで馬鹿みたいに翔が料理頼んでた時の事」
そう言って、またあたしは悲しさを押し殺して笑った。