「…ごめん、ね」


小さく呟くあたしに翔は優しく笑った。


「つか何で俺、謝られてんの?」


首を傾げる翔はあたしの頭をクシャっと撫でる。


「…期待に応えられなかった」

「そんな事ねぇよ」


ギュッと抱えられて撫でられるその行為に、また涙が溢れそうだった。

喜んだあの数日間はきっと人生で2番目に嬉しかった事。


だって、一番は翔と出会えた事だから。






…心が少し落ち着くまでに時間が掛った。

まだ精神が不安で完全には落ち着けていない。


「飯、何か買ってくるわ。食べてねぇだろ?」


身体を起して座るあたしに翔はそう言った。


「あ、ごめん。なんか作る」

「馬鹿、何もすんな」


薄ら笑った翔が姿を消すと、あたしはフーッと一息吐き呼吸を整える。

そしてリビングに向かってすぐに目に着いたのはソファーの上に置いてある薬の袋だった。