正直、帰る場所を悩んだ。

家に帰るか、マンションか。


悩んだ。


けどそう悩んでるわりには自分の足はマンションに向かってて、着いた瞬間、鞄をソファーに投げ捨ててベッドに倒れ込んだ。


…流産。

妊娠したら必ずしも出産まで辿りつくんだと思ってた。

そんな流産って言葉なんて全く考えたりしてなかった。


朝ごはんもほろくに食べず、昼ご飯も何も食べず、あたしはただただベッドに寝たきりで夜を迎えてた。



「…さき」

「……」

「…美咲?」

「……」


ユラユラと揺れる身体。

いつの間にか眠りについて、その声と閉じている目を開けると翔の顔が飛び込む。


「どした?体調悪い?」

「……」


床にしゃがみ込んだ翔の視線とあたしの視線が同じになる。

その翔の顔を見た途端、何かが一瞬でプツンと途切れ一気に何だが込み上げて来た。


徐々に溢れだす涙の所為で翔の顔がぼやけてく。それに混じって微かな泣き声。

頑張って、頑張って、声を出さない様にと押し殺して泣く所為で、より一層涙が溢れ返った。