「…新山さん、」
「……」
「…新山さん?」
椅子に座ってボーっとしてるあたしの顔の前に女医さんの顔が現われ、ハッと意識を取り戻す。
「……」
「…流産は妊婦さんによくある話で、妊娠中の中で7割近くが流産の傾向があると言われるの」
「……」
「だけどそれは決してお母さんが悪いわけじゃなくて、赤ちゃんに何かしらの負担があって、お腹の中にいれない状況になってる訳であって、お母さんの母体が悪いわけじゃないの」
「……」
「だからと言って、次もそうなる訳じゃないの。今回は残念だけど、次があるから…」
「……」
「…新山さん?大丈夫ですか?」
「……」
見つめる先がボヤける。
大丈夫ですか?って言われて大丈夫な訳ないじゃん。
あんなに…
あんなに数週間前まで喜んでたんだから。
なのに、あんな喜びが一気に消えるなんて夢にも思ってない事だった。
翔にも笑顔で話してて、ママにも言ったのに…
もうその存在が居ないなんて…
初めて神様を恨んでしまった。
大切にしていこうと決めたものを一瞬で奪い去ったから。
それは、どうしてですか?
あたしの…
あたしの今までの行いですか?