「…どした?」
洗面所の鏡を見つめていると不意に聞こえた翔の声。
そして鏡越しから翔の姿を捕らえる。
「…うん」
「何かあった?」
「…出血してる」
「出血?」
鏡越しから見る翔は眉間に少し皺を寄せてあたしを見る。
「うん」
「病院は?」
「行ってない」
「行けよ。今から行く?」
「ううん。明日、朝一に行ってみる」
その日は変な不安感を抱きながらあたしは眠りについた。
実際は気になって気になってして眠れなかったけど、いつも間にか朝はきてた。
病院に行く前にあたしは一度電話をした。
そしてその後すぐに病院に向かい、診察を受けた。
「えー…っと、出血だって?」
女医さんがカルテを見ながらそう言った。
「はい」
「いつから?」
「昨日の…昼過ぎ…かな」
「昨日の昼?もっと早く来なくちゃダメじゃない」
「いや、でも行けなかったんです」
「ちょっと診察するから隣の部屋に入ってね」
「はい」
立ち上がってすぐにあたしは深いため息をついた。