次の日を迎えたあたしは、朝早くから紙袋にママの衣服を詰めて支度をする。
そのまま学校に行くつもりだから、大量な荷物を抱えたまま病院へ向かった。
着いて直ぐ、何でか分かんないけど、ここに来るとため息が出てしまう。
慣れてしまった所為か分かんないけど、気分も重くなる。
だけど、それをフッ切るかのように、あたたしは笑みを漏らしドアを開けた。
「…ママ」
少しだけ閉めてあるカーテンを手の甲で払い、あたしは顔を覗かせる。
窓の外を眺めてたママはあたしの姿に気づいた瞬間、小さく笑みを漏らした。
「…美咲」
そうあたしの名前を呼んだ声は本当に小さくて、擦れそうな声。
いっきに顔色も悪くて、帰って来たばかりのママとは別人だ。
「あ、着替え持って来たからね」
「…ありがと」
「また何かあったら言ってね」
「ごめんね」
「別に謝らなくてもいいよ。あたしは少なくともママに凄い感謝してるから」
「ママもだよ」
そう言ったママが本当に居なくなってしまうんだろうかと思った。
まだ話せて、まだ笑えて、こうやって会話だってしてるのに、本当に何もかも消えちゃう事が信じられない。
まだ、ママはこの先もずっと…
ずっと居るんだから。