「帰るか」
「そうだな」
鍵を閉めて職員室。
鍵を返して学校を出た。
「そういや今日、演劇部居たよな?」
「あぁ、そうだな」
「それってヒロイン、やるの承諾したのか?」
「まぁそういう事になるな」
少し照れたように答えた。
それを見て、かわいいと思った反面イライラが募った。
「そっそっか。やるんだ…」
必死にイライラを抑えて言った。
「あぁ。なんだ?やっちゃまずいのか?」
「えっ!?べっ別にそういうわけじゃないけど…」
「じゃあなんだよ」
「別になんでもない…と思う」
なんでイライラすんだ?
文化祭にヒロイン役で演劇出るだけじゃんか。
なんで…
「変な奴だな、貴様は」
いたずらっぽく笑う。
その顔に心臓を鷲掴みされた気分だ。
「まぁいい。楽しみにしておいてくれ。貴様には特等席を用意してやるから」
「それはどうも」
結局、イライラの原因はわからずじまいだった。
あれから数日が経ち、いよいよミニ夏祭りの前々日。
「終わった…」
すべてのものが作り終えた。
あとは配置するだけだ。
「終わったぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
歓呼の声が響きわたった。
そこにいた誰もが喜んだ。
「…注目!!!ここで、実行委員長である、広瀬君に一言もらいたいと思います。広瀬君、前に」
「あっはい」
黒板の前に立った。
「えぇー…皆様、今日まで本当にありがとうございました。皆様の協力があったからこそであります。各々部活等の忙しいであろう時期の中、私たちのためにお手伝いいただき、ありがとうございました」
一礼したと同時に拍手の嵐が。
…これが達成感ってやつなのか?
自然と涙腺が緩む。
「何泣いてんだ、広瀬!」「そんな涙もろいやつだったか?」「お疲れ様」「広瀬君泣いてるぅ」
からかうようにみんなが言う。
けど、涙が止まらない。
泣いちゃダメだって、わかってるのに。
「すみません…まだ、スタートラインに立ったばかりなのに…本番のミニ夏祭りが終わってないのに泣いてしまって…」
「広瀬君、涙もろいのね(笑)実行委員長の話はこの辺にして、お開きにしましょうか。みなさま、本当にお疲れ様でした。ぜひ、ミニ夏祭りの方にも足を運んでくださいね。広瀬君のためにも(笑)」
こうして、無事に準備を済ますことができた。
「…お疲れ様でした」
「「「「お疲れ様でした」」」」
「不覚にも泣いてしまう事態がありましたが、無事に終わることができて、よかったです」
「そうね。写メっとけばよかったかしら?」
「なっ…///」
「冗談よ」
「冗談に聞こえませんから」
「でも、貴様が泣くなんてな」
「俺もそういうつもりなかったし」
「まぁ無事に終わることができたんだし、よしとしましょう」
「そうですね」
「じゃあこれで終わりってことで。明日の準備もあるし、今日は早めに退散しましょうか」
「そうだねぇ」「うんうん」
「じゃあそういう事で、「あの」
「何?」
「明日は、俺一人で準備しますよ。みなさんお疲れでしょうし、明後日の本番に備えてほしいですから」
「でも、あれを一人でなんて無理だよ」
「大丈夫です。先生も手伝ってくれるって言っていたのでなんとかなります」
「でも、広瀬に悪いだろう。広瀬が一番頑張ったんだし」
「俺は、実行委員長ですから。…じゃあ、実行委員長として言います。明日は全員休息をとってください。これは義務ですので。それじゃあ、今日のミーティングは終了します。明後日の3時半ごろにここに集合してください」
俺は誰にも有無を言わせずに終了した。
みんなは納得してないようだったけどな。
だけど、みんなには休んでもらいたかったから。
執事サービスをしてる時に聞いてたんだ。
実行委員のみんなが、家に持ち帰って準備をしていたことを。
家に帰ってもやってくれてただなんて…
俺はダラダラしてたし、それくらいはな。
だから先生に頼んで、手伝ってもらうようにお願いしたんだから。
「じゃっじゃあ広瀬君、明日はお願い…ね」
「任せてください」
「なんか申し訳ないな」
「そんなことないですから。みなさんはゆっくり休んでください」
「わかった。ゆっくり休んでくるね」
「じゃあ帰ろうか」
「うん」「また明後日ね」「頑張れよ」「なんかあったら連絡してくれ、すぐ行くから」
実行委員のみんなが帰っていった。
「…貴様、本当に大丈夫なのか?」
「大丈夫だ。俺を誰だと思ってんの?これでも“最強”だったんだけど(笑)」
中学ではな(笑)
無駄に体は丈夫にできてるしな。
「私にはそうは見えないがな。さっきだって泣いてたし(笑)」
「そっそれは…っ///」
赤面する俺。
「まだ目が赤いぞ」
意地悪そうに笑いながら手鏡を渡してきた。
実際に見たらまだ赤かった。
「…うっせ///」
「貴様が泣くなんて珍しいこともあるんだな」
「へーへー」
「で、話は戻るが、明日本当に一人で平気なのか?」
「お前までそんな…」
「よし、わかった。明日私も手伝おう」
「…はぁ!?お前、俺の言ってる意味わかんないの?」
「わかっている。だが、心配だから私も手伝う。もうこれは誰が言おうが私は手伝うからな」
こうなると本当に誰が言っても無駄になる。
こっちが折れるしかない。
「…わかったよ。明日9時半にここに来い」
「わかった!」
嬉しそうに答えた梨沙。
かわいすぎなんだよ…
「じゃあ今日は帰るぞ。明日に備えて寝ないとな」
「あぁ」
戸締りを済ませ、帰宅した。