「今日は、いっぱい来たね」
「そうだね。これも生徒会効果かな?」
「だねぇ、ねっ会長!」
「…えっ?あっそんなことはないぞ。みんながいてくれたからこそだと思う」
「会長にそう言ってもらうとなんか嬉しいね」
「うんうん」
「じゃあ、今日はこれで解散ってことでいいね。実行委員長、何かある?」
「…」
「広瀬君?」
「えっあっ…なんでしたっけ」
「何か報告あります?」
「あっ…特にないです」
ボーっとしてしまっていた。
「じゃあ解散ってことで。生徒会の二人、明日もよろしくね」
「はい」「あぁ…」
「じゃあまた明日ね」
「ばいばーい」
実行委員の子たちも帰っていった。
準備室にはコスプレした俺らだけになった。
…さっきの休憩のときが蘇る。
心臓が加速し始める。
梨沙に告白したこと、キスをしたこと、逃げたこと…
「…きっ着替えてくる」
この空気に耐えられなくて、また逃げた。
着替えながら考える。
このあと戻ってきて何を話したらいいのか。話さない方がいいのか。
でも、考えてるだけじゃだめなわけで…
それは自分でもよくわかってる。
あそこまでしてしまったんだ。
もう吹っ切ってしまえばいいじゃないか。
「あれでよかったんだ」
呪文のように唱える。
やっぱ女々しいな、俺。
着替えて戻ってくると、梨沙も着替え終わっていた。
「きっ着替え終わったんだ」
「まっまぁな」
ぎこちない会話。
まぁ仕方ない。
「今日は俺が掃除するから、先に帰っていいぞ」
「…いい。手伝う」
そう言って、掃き掃除を始める。
俺も机の上のごみとか道具とかを片付ける。
黙々と掃除をした。
「これで、今日の業務は終了だな」
「あっあぁ」
やっぱりぎこちない。
「じゃああとは俺が戸締りしておくから」
「…貴様はそんなに私を帰らせたいのか!!」
突然大声で言った梨沙に驚く。
「りっ梨沙!?」
「さっぱり貴様のことが分からない。『好き』って言ったと思えば、キスするし。キスしてきたと思ったらいなくなるし…避けられるし…」
しまいには泣いてしまった。
「わっ私を…どこまでかきまわ…したらいいんだよ…」
その場に座り込む梨沙。
Σぎゅっ
気付いた時には抱きしめていた。
自分でもびっくりするくらい無意識で…
「ごめん」
俺の口は謝っていた。
「…ひく…ひっく」
首を横に振りながら泣いていた。
『そんなことない』って言っているかのように。
「こんなに困らせてたんだな、俺」
俺はただ気持ちを知ってほしかった。
…わがままだな。
梨沙の事なんて全く考えてなくて、ただ自分のエゴを押し付けてただけ…
「わがまま言って悪かったな。もう困らせるようなこと言わないから」
そう言って抱きしめていた手を離した。
Σぎゅっっ
「…!?」
どっどういうことだ!?
なんで…
「わがまま…なんかじゃない…ぞ」
俺を抱きしめた梨沙が、泣きながら言った。
なんで、なんで抱きしめられてる!?
「りっ梨沙!?」
「貴様なんかより…私の方がずっとわがままだ」
「…えっ?」
梨沙が言ってる意味を理解できずにいた。
『私の方がずっとわがままだ』
何言って…
「私…ずっと逃げてた」
「自分の気持ちを偽って……私…貴様が好き…だったから」
「…!?」
驚きを隠せない。
梨沙が…俺を好き!?
んなわけないってずっと思ってたのに…
「だから…あの時、正直嬉しかった。舞い上がるような気分だった。けど…」
「けっけど…?」
「いつか嫌われてしまう、嫌いになってしまうんじゃないかって思ったら…怖くて…好きでいたいのに、好きでいられなくなってしまう自分が…すごく怖くて」
「梨沙…」
そんな風に思ってたなんて…
俺なんかよりちゃんと考えてて。
それに…
かわいすぎる///
今までの梨沙のキャラから考えても、そんな純粋すぎることを思っていたなんて考えもしなかった。
「梨沙。お前、ずりぃ」
「えっ?」
「ずっと気づいてないって思ってたのに。なのに、実は好きでしただなんて…」
Σぎゅっ
「でもよ、俺はお前なんかよりずっとわがままだからさ。そんな風に言われたくらいじゃ、あきらめねぇよ」
Σちゅっ…
「そう思わせねぇくらい、好きにさせてやる」
「…///」
リンゴみたく赤くなった梨沙。
きっと俺も同じくらい赤いはず。
「…じゃっじゃあ帰るか。もういい時間だしな…って梨沙?」
「うぅ…」
「どっどした!?」
「…腰抜けた///」
「……フッ」
「わっ笑うな!!」
「へーへー」
「またそうやって適当な返事すっキャッ///なっなにをするんだ!!」
「何って…みたまんまじゃん」
「それはわかっている!降ろせ!!」
そう言ってバタバタ暴れる。
腰抜けたって言うから抱きかかえて帰ろうかと思っただけなんだけど。
「どうせ歩けないでしょ。俺、早く帰りたいからさ。我慢して」
「なっ…///」
そのまま荷物を持って戸締りして学校を出た。