助かった、とほっとしつつ同僚の元へ行くと、何枚ものメモを留めた紙束を渡された。


「なんか二課の奴から渡されたよ」

「はい、確かに僕が頼んだんです。ありがとうございます」

「おう。頑張れよ」


彼はちらりと朋恵に視線を送る。
先輩の相手をがんばれということらしい。
苦笑いをしつつ同僚を見送ると、朋恵の元に戻った。


「先輩、暴力団対策課の一人に頼んでおいた日奈山くんの聞き込みのメモが来ました」

すぐさまメモを受け取り、目を通す。
思案顔の朋恵の眉間にだんだんと皺が寄る。

一通り目を通したところで、紙は高橋に渡ってきた。
期待の込めた手で、ペラペラと紙をめくっていく。

「これは…」

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 面白いやつ。 組に入るものと思っていたが入る気はなし(一貫して)
 若(ハザマカナデ?)の友人 仲が良い 
 組に入ってもらいたかった←若の支えとして
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こんな内容がほとんどを占めている。
炯斗が組の人間でないことにほっとするが、引っかかることもある。


「若の支え…というのは?」

朋恵は先を見ろと目配せ。
いいエサをお預けにされた気分でさらにメモをめくっていくと、

「これは…!」

最後に対策課の刑事の考察が紙を埋め尽くすように書きなぐられていた。