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同日
朋恵は、またも不機嫌だった。
炯斗のことを調べるにあたり、比津次会に聞き込みをしようとしたところ、組織犯罪対策部の暴力団対策課の連中に追い払われたのだ。
もともと、相手が集団とわかっている事件を扱うのは警視庁の場合、警視庁組織犯罪対策部。
中でも暴力団関係を扱うのはその対策三課や四課だ。
今回は殺人事件が先だったのをいいことに捜査一課たちだけで解決しようとしていたのだが、事件が続いたことでこのことに気付いた組織犯罪対策課が本部に乗り込んできた。
本来の管轄である分野の捜査だと主張され、管理官がしぶしぶ首を縦に振ると彼らはわがもの顔で捜査本部の半分を占拠した。
「だとしても、そのあんたらお偉いさんが使ってるのは私たちの署だろうがっ…!」
要は、捜査本部で寝泊まりする人間が増えて、本来ここで働く朋恵や高橋たち所轄の人間の肩身が大いにせまくなっているということだ。
本庁で行われるはずの縄張り争いがこんなところで起こってはたまったものではない。
ストレスはピークに達しようとしていた。
ここまでは、普通の所轄の刑事たちの文句。
だが朋恵たちにはさらに追加があった。