『遊びましょうよ!』

組の人の子で、吉野春日といったやつがいた。
両親ともにうちに通ってたから、一緒についてきていたらしい。

後になってみれば、吉野の親が気を使ってくれていたのかもしれない。

年は一つ下。
そんな同世代の友達がいたからオレは大丈夫だったんだと思う。


親父と会える日は日に日に減っていた。


そして出産の日を迎え──



母さんは死んでしまった。







昔から家に来てて、母さんや親父の両方と仲良くしていた母さんの友人。
その人が新しい母。親父は再婚した。
オレもその人ならよくお世話になってたから、嫌な気一つせず、むしろ歓迎した。

どこかで、オレの言葉じゃない慰めを、親父が必要としていたのをわかっていたのかもしれない。



ただ、そこに至るまでが早すぎた。
オレだけがまだ母さんの死に取り残される気分で日々の波に乗った頃。

ある日オレは母さんの遺品の中にあった誰のかわからない手紙を見つけた。


『っ……!』


震える手足では、何もできなかった。
唯一できたのは悔しさと虚しさに声を絞り出すことだけ。



今までしてきたことが、すべて崩された。
オレの精一杯元気づけようとした努力、寂しさに耐え忍んだ数か月の時間、何よりも与えられるはずだった弟への愛が。

全てを踏み潰しておきながら、嗤っている。



──赦さねえ……!