『テメェ! 何して──』

素早く間を詰めたファントム。
ガッ!
不意を突かれた炯斗は簡単に吹っ飛ぶ。

「痛って…ファン…トム…!」

背中を壁にしたたかに打ち付けた炯斗は、息を整えて立ち上がる。
魂の光に包まれたファントムをまっすぐに見据える。

肩で大きく息をするファントムは炯斗とも骨ともつかない方向を見つめて俯いている。

「どういうことだよ…なんでここにあんたが埋まってるんだよ!」

『答えるつもりはない』

頑な。
人を勝手にこんなところに下してきておいて語ることは何もないとは。
秘密主義にもいい加減、腹が立ってくる。

『あんたは…一体誰なんだよ』

無言。
舌打ちを一発。炯斗はファントムに迫り右腕を振り上げる。

「何とか言えっつーの!」

パシリ、

「およ?」

軽い音とともに掴まれた──と思ったときには顔面に衝撃が走った。

「っつ!」

『お前の軽いパンチなんか俺には届かねえよ』