不思議な関係だった。


親たちから口を酸っぱくして幽霊と深く関わってはいけないと言われていた言乃。

まさか、自分がこんなにファントムと仲良くなるとは思っても見なかった。


そしてファントムも、不思議な幽霊だった。


浮遊霊だと言乃は判断していたが、どこか帰る場所があるらしい。
時にはファントムの方から帰ると言い出す時もあった。


しかし逆に、言乃が先に帰ると言い出すとファントムは酷く寂しげな顔で言った。


『もう行くのか?』


なんだか分からない。
けれど、その表情を見ると強く胸を掴まれるような心地がして、毎回、約束のように呟いていた。


「また明日来ますよ」


そんな時だけ、彼の境遇を垣間見た気がした。