翠「妖力を刀に流して!」
ブワリと翠の周りに冷気が広がる。
それを感じ取った賢人が叫ぶ。
賢「場所を空けろ!八俣遠呂智ともども氷漬けになるぞ!!」
慌てて翠の射程範囲を抜け出す人々を確認して翠は刀を薙いだ。
翠「ハァッ!!」
その瞬間、地面から空にかけて光が現れ一瞬で大きな氷の柱が遠呂智の顎に当てられた。
しかし翠は手を休めることなく続けて氷の柱を腹の辺りに作り、遠呂智の体を完全に支えた。
翠「ハァ…ハァ…ハァ…ッケホッ…間に…合…った…?」
白棹の力を借りたとはいえ、一気にあれほどの大きな氷の柱をいくつも作ったのだ。
翠は膝をつき肩で息をしていた。
勘「翠!大丈夫かい?」
拓「君は、また無茶して…」
龍「どうやらアイツらも終わったようだぜ。」
クイッと指し示す方を見ると、蒼希と紫苑が集めた刀を一本だけ残して後は全て折っていた。
賢「立てるか?」
優しく翠の手と腰を掴み立たせる賢人。
翠「あ、はい。大丈…」
翠はそこで言葉を切った。否、言えなかった。
何故なら空が赤く染まり、強い熱を感じたから。