【ギャッ!?】

【ヘブッ!?】

【ンガッ!?】

心配などしてはいなかったが、その様子を見ていた秋雅は猿鶴に雑魚を任せ、くるりと後ろを向く。

秋「さて、八俣遠呂智。滅させて貰う。」

はて、蛇の弱点は…

そんなことを考えていたら首筋にチリッと何か感じた。

急いで身体を捻り、飛び退くとちょうど秋雅がいた場所に何かが突進していた。

?【くくっ…ジジィの癖にいい動きをする。】

突進していたのは人の姿をした男。

先程の首筋に感じたのは奴の殺気。

秋「現場に出なくなったとはいえ儂はこれで今でも鍛練をおこったってはいないのでな。」

フンッと不機嫌そうに男を見下ろす秋雅に男はゆっくりと立ち上がる。

?【ふむ、なかなかの霊圧。しかし、私が探しているのは貴様のような老い先短いジジィではない。我が主の心を乱す娘がいると聞いた。そいつはどこにいる?】

スッと目を細める男。秋雅は男から隠すことのない殺気を受けるが顔色どころか眉一つ動かさない。

秋「あの子は今回の要。そう易々と教えると?」

?【ふん、確かに。まぁ特徴は聞いている。主様には劣るが美しき容姿に氷を操る、と。】

ピキーン!

その時ちょうど、翠が大きな氷の柱を作って沢山の妖を氷漬けにしていた。